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思いつきの考えを垂れ流すブログ

初心者のためのデジカメ講座

デジタルカメラ、便利。

携帯電話のカメラも随分進化して、コンパクトデジカメにも負けないくらいになってきた。
そんな便利なデジタルカメラについてちょっと知っておきたい、
「カメラについてちょっと詳しいんだよね〜」と自慢してみたい。
そんな人のため、初歩的な知識を記事にしてみます。

この記事だけでは詳細な説明はしきれないので、
デジタルカメラについての一般常識を軽くつまみ食いする程度に。

カメラの成り立ち

カメラの初期の目的は目を痛めずに太陽を観察する装置であった。
現在のカメラの基礎とも言えるのはカメラ・オブスキュラ(ラテン語で暗い部屋を意味する)と呼ばれるもので、暗い部屋の壁に穴を開けたもの、つまり巨大なピンホールカメラである。
ある程度の小型化はされたが、現在のカメラとは比べ物にならないほど巨大であった。
16世紀後半あたりから写実的絵画の下絵のために使われ、芸術界に一定の貢献をした。
フェルメールなどがカメラ・オブスキュラを利用していたと言われる。

カメラ・オブスキュラ - YouTube

現在のカメラに近いものは19世紀に登場し、35mmフィルムなどもこの頃に普及した。
デジタルカメラ原型の発明は1975年にアメリカのKodakという、当時はフィルムメーカーによって成された。
初期は現在のJPEGのような電子データで保存せず、アナログ的に電子信号を記録する電子スチルカメラであった。
代表的な製品としては1980年頃のソニーマビカ」等がある。
1990年頃に現在のようなフラッシュメモリへデジタルデータを保存されるようになった。
2000年頃になるとデジタルカメラの価格が安価かつ完成度が高くなり、普及して2014年現在に至る。

カメラの仕組み

機械部分はフィルムカメラとほぼ同じであるが、デジタル化により大きく変わったのは、化学反応を利用した記録媒体のフィルムが電子的記録をするイメージセンサ(固体撮像素子)に置き換わった点である。

デジタルスチルカメラを構成する要素で重要なものは以下の5つがある。

  • レンズ
    被写体の像を結像するために必要な装置。
    複数枚のレンズからなるレンズユニットとなる。

  • 絞り機構
    複数枚の羽状遮光部品からなる、光を通す穴の大きさを可変にできる機械。
    露光制御の要素のひとつで、携帯用カメラなど簡易なカメラシステムでは除かれることもある。
    一般的にはレンズユニットに内蔵される。 絞り羽根が動作する様子は以下

- YouTube

  • メカシャッター
    露光制御の要素のひとつで、携帯用カメラなど簡易なカメラシステムでは除かれることもある。
    一般的にはカメラボディ本体に内蔵される。

  • イメージセンサ
    光起電力効果を用いた、光情報を記録するための半導体素子。
    イメージセンサにはCCDやCMOSがあり、初期の主流はCCDであったが現在はLSIの製造プロセスが流用できるCMOSが主流である。
    カメラボディ本体に内蔵される。

  • ISP
    Image Signal Processor/Processingの略で、イメージセンサからの出力データをJPEG等に変換する、フィルムカメラで言う現像に相当する処理をする装置。
    カメラボディ本体に内蔵される。

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イメージセンサとISP以外は機械的な装置であり、フィルムカメラのノウハウがふんだんに流用されるため、ニコンなどの光学機器メーカーに一日の長がある。
イメージセンサとISP半導体素子により実現されるものであるため、半導体製造ノウハウやプロセッサ設計ノウハウを持つソニーなどのメーカーに一日の長がある。

レンズ

通常カメラのレンズは複数枚からなり、合成レンズとして働く。
これは主にイメージセンサに対する色や像への悪影響である収差を抑えるための工夫である。
非常に高度な光学機構からなる。
複数枚のレンズは鏡胴と呼ばれる円筒形の筐体に収められ、ピント合わせのためのレンズ可動機構を持つ。

近年はAF(Auto Focus)駆動機構を持つため、カメラボディとの通信端子と、フォーカス制御のためのプロセッサをほとんどのレンズが搭載している。
携帯機向けのAF駆動機構としてはVCM(Voice Coil Motor )やPM(Piezo Motor)などがあり、携帯機が搭載するプロセッサと通信して制御をおこなう。

絞り羽根

複数枚の羽根機構により大きさが可変な穴を作ることができ、イメージセンサへ通す光量を物理的に制限する装置である。
レンズと一緒に鏡胴内部に搭載されることが一般的。

穴の大きさを変化させることで、レンズの実質有効径を変化させることができ、被写体の明るさだけではなくピントや被写界深度にも影響を与える。
ボケを活かした写真は被写界深度によって作りだされる、そうした写真を撮影するためには必須の機構である。

メカシャッター

イメージセンサへ光を照射する時間を物理的に制限する装置である。
先幕・後幕の2枚の幕からなるフォーカルプレーンシャッターなどが主流。
シャッタースピードはイメージセンサへ光を照射する時間そのものであり、1/30secは30分の1秒の時間だけイメージセンサに光を照射する。
メカシャッターは高い精度が要求され、シャッタースピードが高速であるほどより精度が必要である。

イメージセンサ

イメージセンサはPD(Photo Diode)が格子状に配列されたものからなり、PDが光エネルギーによる電荷を出力し、出力した電荷をFDアンプ等により電圧に変換するものが基本となる。
電圧に変換された光情報はADC(Analog Digital Conveter)により量子化され数ビットのデジタル値に変換される。

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デジタル出力のイメージセンサではADCがチップに内蔵されるが、アナログ出力のイメージセンサでは別途AFEと呼ぶ素子内のADCにてデジタル値に変換する。
現在の一般的なセンサは10〜14bit程度のビット精度が採用される。

電荷の転送方式や、高感度化のための物理的仕組み(BSIやマイクロレンズアレイなど)の工夫がされる違いはあるが、基本的にはPDの出力した電荷を電圧に変換し、ADCでデジタル値に変換するのが現在のイメージセンサの基本的な仕組みとなる。

一般的なカラー対応のイメージセンサの画素配列はBayerパターンと呼ばれるRed、Green、Buleの原色カラーフィルタの組み合わせで配置され、周囲に光学的黒(Optical Black)レベルを再生するための領域が配置される。

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ISP

ISPはカメラ信号処理専用プロセッサで、画像処理エンジン等と呼ばれるチップ。
プリプロセスとして3Aと呼ぶ AE(Auto Exposure)、AWB(Auto White Balance)、AF(Auto Focus)の処理や、イメージセンサが出力するベイヤー配列などのRAWイメージのデコード処理(YUV、RGBへの変換など)が行われる。
加えて、解像度変換や高品質化のための各種フィルタ処理、保存のためのJPEGなどのコーデック変換や、カメラシステムに必要な各種制御をおこなうプロセッサである。

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例としてはCanonDIGICNikonのEXPEED等がある。

なお、国内カメラメーカのISPFujitsuのMilbeautベースとなるものが多く、NikonPentaxSigmaなど半導体メーカーとしてのノウハウが不足している旧来カメラメーカーはベースにしていることが多い。
ISP開発ノウハウがある半導体メーカーは自社製のISPをゼロから作成している。

ISPでの現像結果は各社のノウハウやポリシーが反映されるため、調整結果は大きく差が出る。
細かな調整は官能的評価による要素が強く、フィールドテストのための時間が非常にかかる。
高級機種ほど突き詰めた調整のための時間を投入する。

一眼レフ、ミラーレス一眼、コンパクトデジカメ、小型カメラモジュール

  • 一眼レフ
    一眼レフはプリズムやミラー(レフ板)を用いた光学的工夫により、レンズを透過した像をファインダーから観察できる仕組みを持ったカメラ。
    以下の動画のように、撮影のためにシャッターボタンを押すと、ミラーが跳ね上がる動作をした後、シャッターが動作し、イメージセンサへ光が照射される。


一眼レフのシャッター動作を420fpsで撮影 - YouTube

レンズ交換式である点も特徴の一つ。

Nikon デジタル一眼レフカメラ D5200 レンズキット AF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR付属 ブラック D5200LKBK

  • ミラーレス一眼
    ミラーレス一眼は、一眼レフのミラー機構が取り除かれたものが本来のものである。
    そのため、イメージセンサは一眼レフの流用か、相当するスペックを持つものが搭載される。
    レンズへ透過する像をファインダーから直接見ることはできないため、コンパクトデジカメのようにイメージセンサからの動画出力をファインダー内部の小型ディスプレイか背面のライブビューディスプレイへ映す。
    ミラー可動機構がないためカメラ本体の小型軽量化がされ、またミラー可動に伴う振動がない。
    一眼レフカメラのように直接像を見られないため、ディスプレイが持つ色特性や表示の遅れなどが欠点となる。

一眼レフカメラ同様、レンズ交換式である点が特徴。

OLYMPUS ミラーレス一眼 PEN Lite E-PL5 ダブルズームキット ホワイト E-PL5 DZKIT WHT

  • コンパクトデジタルカメラ
    コンパクトデジタルカメラは一眼レフやミラーレス一眼よりも小型軽量なカメラ。
    レンズユニットがカメラ本体の一部になっており、交換不可。
    レンズユニットは小型かつ低コストである必要があるため、当然レンズ交換式カメラよりも性能的に劣るレンズとなる。
    イメージセンサも小型かつ低コストである必要があるため、一眼レフに比べて性能的に劣る。
    羽根絞り機構は無く、絞り機能のために切り替え可能なNDフィルタを持つものが一般的。
    メカシャッター機構も無く、イメージセンサのデータ読み出しタイミング制御により実現される電子的シャッター(ローリングシャッター) にて露光時間の制御をおこなう。
    ファインダーも無いため、背面のライブビューディスプレイからイメージセンサの動画出力を見ながら撮影をする。
    一眼レフやミラーレス一眼に比べて、細かな調整ができる撮影機能が無いが、代わりに一般的な撮影シーンに合わせた各種撮影モードや特殊なフィルタ機能を持つ。

FUJIFILM デジタルカメラ XQ1 ブラック F FX-XQ1 B

  • 小型カメラモジュール
    小型カメラモジュールは携帯電話に内蔵したり、ノートPCのWebカメラ等各種電子機器に内蔵されているカメラ。
    通常10mm角に収まる程度の大きさ。
    小型で、低コストかつ省電力であることを要求される。
    フォーカス制御機構が固定のものが多いが、携帯電話向けにはVCMなどによるフォーカス制御機構やISPが内蔵されることが多い。 Raspberry Pi Video Module Raspberry Pi Camera Board 775-7731

おわりに

初歩的なデジタルカメラについて、雑に説明した。
さすがにこの程度ではカメラオタクやマニアな人々には太刀打ち出来ないけれど、デジタルカメラについてちょっとは詳しいと言えるようにはなるんじゃないか。

隙を見て、デジタルカメラの各要素についてのもう少し詳しい解説なんかしてみようかな。